AOS Tokyo  - APOSTLESHIP OF THE SEA TOKYO





こんにちは。
今日は少しつらい話かもしれません。
ただ、船での仕事の一つの現実として知っていただきたいと思って寄稿します。

昨夜遅く依頼があって、遠方の港ですが往訪してきました。
その船では事故があって、一人の船員が船底に落ちて頭を打って亡くなられてしまったということです。
折しも船長は大腸のポリープが深刻な段階になり、病院に行き内視鏡検査中で留守ということでした。
他にも航海士が体調不良で下船したり、とりわけ病気・怪我に見舞われているという状態です。
深刻な状態を鑑みて、シンガポールの会社の方から直に連絡をいただきました。

痛恨の状況で船員は皆ナーバスでした。
職場で怪我人や、ましてや死者が出るというのは陸にいる私達でも稀であり、ショックを拭えません。
まだ航海の途上、重い雰囲気を背負っての航海は非常に辛いものです。

まずは聞くことから始めます。
お亡くなりになったのは、ボースンと呼ばれる役割の方でした。
日本語では甲板長ですね。航海中の海上の監視、荷物の積みおろし、船を維持するための保守整備をする責任者です。
船員を束ね実際の作業を監督する方なので皆顔なじみです。
皆さんの死を思う気持ちはひとしおに辛く悲しい思いを感じました。

船を伺う前に神父さんに同行をお願いしました。
フィリピン人クルーで構成されていた船なので、フィリピン人の神父さんが一緒に行って頂けたら良いと思い、急なお願いでありましたがお連れすることが出来ました。
今回は不意の依頼と遠方での仕事だったため各方面、様々な方のご尽力で船へ往訪できました。
日頃から団体・企業様の迅速な連携に助けられています。
今回も早々に動いていただきました。ありがとうございます。

神父さんには聖水で祝福をしてもらったり、船員たちのための祈りを捧げて頂きました。
また船内の全個所を回って祝別のお祈りもしました。
死者を悼み、気持ちを整理して、でもみんなが無事で安全に航海を行う。
祈りは心のケアであり、心の痛みをわかってもらえるそんな効果があるのかもしれません。

感謝します。

話を聞いていると航海はまだ続くそうです。
この船はまだあと一ヶ月の航海日程があり、次シンガポールに行き、その次はサウジアラビアに行くそうです。
時折海賊に遭遇することもあるそうです。
武器や銃を持った海賊が入って来て脅し取られたりもするそうです。
船員の疲労の色はこういった不運や災難の連続で最大になっていました。
少しでも話を聞いてできることはないか模索しています。

この間他にもトラブルに見舞われた船がありました。
人命を失うまではなかったのですが、折しも台風のため波浪が高く
岸壁に船体が当たって大きな穴が開いたそうです。
浸水を知らせるアラームが鳴り響き船員が総出で、海水が腰より上になるまで浸かる中、排水を試みたそうです。
幸い発見が早く、船員の迅速な処置で沈むということには至らなかったようですが
もしアラームがならなかったら、気づかず処置が遅れたら沈んでいたそうです。

傾聴しているうちに、ふと一人の船員がこうつぶやいたのが印象的でした。
「神様がいつも一緒にいて守って下さった」
船員の信じる宗教も様々ですが、皆一様にうなずき今の無事な姿に安堵を浮かべていました。
危機を救ったのは船員たち自身であり、それを支えるテクノロジーなのですが
心に神様の存在が大きな柱として寄り添ってくれているんだなと思いました。

船で働くというのは技術に進んだ今でも、時に命を失う非常に危険な職業です。
いろいろな話や、経験を伺い彼らの苦労や犠牲に対して、できることも限られ、また時に無力ではありますが
港に着いた時に何かできることがあったら、何でもしたいと痛感しました。

PS
洋上で遭難や航行不能に落ちいった際は近くをゆく船が救出に駆けつけるそうです。
たとえ急ぎの航海でも異常に気付いた場合は進路を変えるそうです。
助け合いの精神の大切さもっと学びたいですね。

もし、AOSの活動に興味を持たれましたら、ボランティアや寄付をしてみませんか?
船を訪ねてみたいという気軽な気持ちで参加してみると面白い体験ができます。
どの船も快く迎えてくれますし、AOSスタッフがサポートしますので安心して参加できます。

まずは、こちらをご一読ください ボランティア募集

 

AOS Tokyo / Copyright © 2015 for all Seafarers